七話 幼蝶は希望を掬い上げ1
「なあ、レン。これはどうだ?」
レンはファルが見せてきた魔石を受け取り、首を捻る。
「あー……、色は良いんだけどなぁ、ちょっと…ちっちゃくね?」
「やっぱりそう思うか……」
しょんぼりするファルに、レンは慌てて言葉を付け加える。
「あ、でも一応持って帰ろーぜ! 使えるかもだし。それよりこれどう思う?」
今度はレンがファルに魔石を渡す。
「ん……、いや、駄目だ。ここ、ヒビがある」
「え、うわ、ほんとだ! 気付かなかった……」
じゃあいらね、とポイッと放ったその魔石は、コロコロと転がって、傍に立っていた男の足元に止まった。
「お前ら……」
男――ルークは呆れ顔をしながら、その魔石を拾い上げる。
「知らない間に随分仲良くなったな……?」
「「え?」」
ルークの言葉にレンとファルは目を瞬かせたながら、彼を見上げた。
今日は雲一つない快晴。
レン、ファル、それからルークとそのペアであるニクスの四人は、課題に使う質の良い魔石を調達するため、アカデミー所有の鉱山へと訪れていた――。
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前話 一章 幕間 1
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